滋賀県野洲市の廃墟マンション取り壊し スラムにならないマンションの選び方

(画像は別の団地の解体作業現場の写真で、記事のマンションとは関係ありません)

マンションを購入するとき、多くの人はそのマンションが最後はどうなるのかを具体的に考えて購入しているわけではないですよね。

全国初の行政代執行によるマンション解体

昨年2019年1月にワイドショーなどで話題になった滋賀県滋賀県野洲市にある築47年のスラム廃墟3階建てマンション「美和コーポ」が2020年1月にようやく行政代執行にて解体されました。マンションの行政代執行としては全国初です。

行政代執行というのは、解体作業を本来やるべき所有者に代わって行政が行うことです。

このマンションは少なくとも10年前から誰も住まずに放置されてきました。適正な管理がされていない「特定空き家」にも指定されていました。2018年の「大阪北部地震」や台風などの影響で、壁が崩落して廃墟化がさらに進みました。

 

管理組合が機能していない

建物は誰も住まなくなると老朽化が加速します。

誰も住まなくなったら、取り壊して新しい建物を建てればよさそうなものですが、どうして10年も放置されてきたのでしょうか?

それは、所有者全員の同意が取れなかったからです。

分譲マンションの取り壊し、土地の売却などは管理組合が主体となって行います。

分譲マンションは5分の4以上の所有者の同意があれば建て替えることができます。解体でも、被災した物件や耐震性が不足した物件ならば、5分の4以上の賛成で可能ですが、それ以外は、全員の同意が原則です。スラム化したマンションは実際にはひとりでも反対していればなかなか取り壊しは難しい。

空き家になっている部屋では、所有者と連絡がつかないケースや、所有者がわからないケースもあります。

管理組合が機能していない場合は建て替えの決議すらできません。

「美和コーポ」のような戸数が小規模の分譲マンションの場合、管理組合を主体的に運営していく人がいないまま、さらに空き家になってしまうと誰も自分で動こうとはせずに、そのまま放置され続けるということになってしまいます。

マンションというのは同じような年代の人が住んでいることが多いです。
マンションとともに住人は歳をとっていきます。
30代、40代でマンションを購入、老朽化するころ、そのマンションの住人の多くは高齢者です。中には所有者が亡くなってしまう場合もあります。

所有者が亡くなってしまった場合、一人暮らしなどの場合は、相続されずにそのまま放置され所有者(相続権利者)がわからないというケースもあります。

会社などが所有していた場合は、倒産などしたりした場合、やはり所有者がわからなくなってしまいます。

そういうマンションでは、毎月納めるべき管理費も滞納が増えてしまっているケースが多いです。

 

どうしたらいい?

それでも資産価値があればなんとかはなるものですが、「美和コーポ」では駅から18分という場所にあります。都心でもない場所で駅から18分という立地では、かなり苦しい。

マンションの資産価値は立地です。これだけは妥協してはだめです。

これから中古、新築マンションを購入しようとしている方は、まず立地に注意をする、次に管理組合がきちんと機能しているかをチェックするといいでしょう。

 

現在、マンションを所有されている方は、人任せにせず、どんどん自分で管理組合に関与していくべきです。とくに小規模マンションでは、人任せにしないということが重要です。

そして、管理組合で所有者を毎年、確認していくとよいと思います。所有者に確認をして空き家も放置しないようにしましょう。

管理費の滞納が出たら、できるだけ早く対処します。

 

現在、全国にある共同住宅の数は戸数にして約3000万戸あります。これは部屋の数です。そのうち空き家となっているのはおよそ478万戸で全体の約25%です。

これからこのようなスラム化するケースが増えていくものと思われます。

マンションは「立地」と「管理」です。