元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書 吉田 尚記 (著)レビュー

ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記(よしだ・ひさのり)さんの、どうしたら他人との会話がうまくできるかについて書かれた本です。

本の表紙の絵のせいで、途中まで著者は女性だと思って読んでいました。

すいません、以下略ちゃんは吉田尚記アナウンサーを知らなかったのです。

なんていうこともない雑談を広げていく方法

吉田尚記さんは入社した頃はいわゆるコミュ障で、コミュニケーションを上手く取れないばかりか、ゲストからも「絡みにくいアナウンサー」といわれていたそうです。

この本は、明確な目的がない会話、ただふれあうことだけが目的の会話がいかに重要であるかを説明し、その上手な会話術について具体例を教えてくれる本です。

なんていうこともない雑談を広げていく方法がたくさん掲載されています。

本書は文体が話し言葉になっています。ブログなどで吹き出しの会話になっている記事がありますが、あれを縦書きにしたものです。親しみやすい反面、慣れるまで読みにくいです。

 

会話はできるだけ相手にしゃべってもらう

「コミュニケーションは自己表現の場ではないんです。」

「会話はできるだけ相手にしゃべってもらったほうが楽しいし、長く続く」

「コミュニケーションの目的はコミュニケーションそのもの」(p.36)

普段はあまり気にしていなかったこれらの言葉は、考えてみれば当然の内容ですが、とても納得でした。

 

本書は3人の専門家、

アドラー心理学の研究者 早稲田大学人間科学学術院教授 向後千春さん

「談話分析」の専門家 慶應義塾大学SFC研究所上席所員 白井宏美さん

脳科学者の自然科学研究機構・生理学研究所名誉教授 柿木隆介さん

に吉田尚記さんがお話をうかがう形で進行していきます。

そのため、「先天性相貌失認」「ポライトネス理論」など専門的な知識も得ることができます。

 

相づちは会話をしてくれている相手への「報酬」

人類にとってどうでもいい話の代表は「天気の話」、「天気の話」をすぐに終わらないように質問形にする。

女性に多い共感脳において、会話はグルーミングの一種。

相づちは会話をしてくれている相手への「報酬」。

一見、文体が話し言葉で内容が薄いように錯覚してしまいますが、そんなことはなくて読んでみると、頷くことばかりで内容が充実した満足感のある本でした。